夢の記録
津島佑子
文藝春秋
1988年1刷
ヤケあり。カバー・本ともに状態良好です。書き込み見当たりません。
死というものの他はなにも考えられなくなっている者には、死を主題としたものしか読めない。少なくとも、私はそうだった。死と遠い世界の作品を読むことは、辛くてできることではなかった。死から出発した言葉を、私はひとつでも多く知りたかったのだ。
(本書、あとがきより引用)
人はなぜ小説や詩を書くか。いやもっと広く、言葉を書きとめておくことを望むのか。それで人としての寿命を超えたいと願うからか。私はむしろ反対に、次の瞬間にも迫っているかもしれない自分の死を認めるために、人は言葉を書きとめずにはいられなくなるのではないか、と思えてならない。
(本書、あとがきより引用)
みずからの感覚のうちへ幼くして喪われた息子を取り戻そうとする生者の心の叫びと呟き、刻みこまれた言葉の力が読む者すべての心をうつ、各文芸時評で絶賛された表題作、ほか8篇を収録。