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世界のかなしみ 『苦海浄土』全三部試解 髙山花子 月曜社 2025年 ☆新本

2,860円

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☆新本 世界のかなしみ 『苦海浄土』全三部試解  髙山花子  月曜社  2025年 世界的な文学として、歴史の証言として、比類なき思想と魂の書と評価されてきた、石牟礼道子『苦海浄土』。その読解はまだ始まったばかりである。注目の新鋭がその端緒を開く。『苦海浄土』全巻を深く細やかにひもとき、その奥底に分け入りながら、「生へのまぼろし」へ至りつく、探究の結晶の書。「本書は、音響、フィクション、文書、生死、生殖、幻といったテーマに目を向けながら、人間を問い、いのちを見つめ、この世界のかなしみを言葉にしている書物として、『苦海浄土』三部作を読もうとするささやかな試みである」(序章より)。 そしてよく読み進めてゆくと、嘆かれているのは、かつて本当に実在した自然豊かな世界の喪失ではなく、「まぼろし」としか呼びえない世界からの遠のきであることがわかってくる。(本書より) 目次 序章 『苦海浄土』を読むために 一 かなしい世界? 二 混沌の響き、人間への問い 第一章 音風景と新たな聴覚 一 音響世界 二 耳の鋭い子供たち 三 未聞の音への感度 四 人間でも動物でも機械でもなく (一)故障したテープレコーダー (二)おめき声、犬吠え様 (三)ゆき女の声 (四)もう歌われない「七つの子」 五 声が歌になるとき 第二章 御詠歌の舞台性 一 炸裂する御詠歌――「狂い」の晴れ舞台 二 『辺境』に連載された『神々の村』――ヒルコ神話からチッソ株主総会へ 三  執筆断絶と未完性――第二部『神々の村』生成過程 四 映画『水俣』との異同―― 一株運動、「苦海浄土」基金、発話障害の差異 五 心の深淵――狂乱の舞台と醒めた視点、「フィクション」としての聞き書き 第三章 文字の世界 一 文書作成の熾烈さ 二 文字以前の世界へ 三 カタカナの使用と呪力――下層民の世界 四 非人になる=文字を書く――本来の生から離れて 五 存在の位相から離れる―立身出世と〈紙〉、ビラ闘争への参与 第四章 人間の生死 一 人間、その生死――「もう一ぺん人間に」 二 魂をめぐって――人間の魂 三 生にも死にも分類されえない〈生〉 四 通常の人間の魂?――判断の根底にある優生思想 五 杢太郎の爺さまによるさち子の中絶――命の選別 六 生まれ替わりについて――死生観 七 自殺、代替不可能性、愛 第五章 家族、性愛、もうひとつのこの世 一 少女たちの月経と排泄 二 異性愛、規範的結婚、人間の本能――「本来」とは何か 三 現代の性と生命――騒音都市と培養の時代 四 「愛情論初稿」におけるエロス 五 高群逸枝の痕跡――『苦海浄土』と石牟礼自身の思想の差異 六 新しい子供たち、その生のリアル――さやかな息遣い 第六章 不可視の世界、存在しないまぼろし 一 まなこの裏の景色――桜、雪、みやこの春 二 現実にある幻の領域 三 生類のみやこから「流民の都」へ 四 『苦海浄土』におけるまぼろしの位相 終章 人間の〈いのち〉、その不思議――サクリファイスではなく 註 あとがき 髙山花子(たかやま・はなこ) 明治大学理工学部助教。著書に、『モーリス・ブランショ――レシの思想』(水声社、2021年)、『鳥の歌、テクストの森』(春秋社、2022年)。訳書に、ジャック・ランシエール『詩の畝――フィリップ・ベックを読みながら』(法政大学出版局、2024年)、モーリス・ブランショ『文学時評1941-1944』(共訳、水声社、2021年)など。

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